平成20年第2回福生市議会定例会における所信
平成20年第2回福生市議会定例会における市長の所信です。
市政運営にあたって
平成20年第2回市議会定例会に当たりまして、貴重なお時間をいただき、私の所信を申し述べさせていただきますことを心から感謝申し上げる次第でございます。
先般の福生市長選挙におきまして、多くの市民の皆様の御支持をいただき、今後4年間、市政を担当させていただくことになりました。
誠に身の引き締まる思いとともに、その責任の重大さを痛感いたしているところでございます。
福生市は、町の時代から、その後の市制施行後も歴代の市長をはじめ、議員各位のたゆまぬ御尽力と市民の皆様の御協力のもとに着々とまちづくりが進展して参りました。
地方分権一括法が施行され、本格的に地方分権時代が始まった平成12年に誕生した野澤市政は、市民主権による自立したまちづくりを目指し、2期8年間にわたり一貫して「福生市のことは市民とともに福生市独自で考える」「後世の市民のために、負担を残さない持続可能なまちを創る」ということを基本的な考えに据え、市民との協働によるまちづくり、そして堅実な行財政運営を進めてこられました。
このたびの選挙におきまして、野澤前市長から後継者として指名をいただいた私が市民の皆様から御支持を頂いたということは、同時に野澤市政への評価の表れであり、引き続き野澤前市長が築かれた市民主権のまちづくりを継続し、更に発展するよう、私に託された市民の声であると信じております。
まだまだ未熟ではございますが、受け継いだ襷(たすき)の重みと責任を強く認識し、私の全力を傾注して市政運営に当たる所存でございますので、議員並びに市民の皆様の特段の御指導、御協力を賜りますよう、切にお願い申し上げる次第でございます。
まちづくりの考え方
さて、歴代の市長、議員各位そして市民の皆様が共に築いてこられた福生のまちづくりでございますが、今までの礎をもとに、さらに私が目指すこれからのまちづくりにつきまして、その一端を申し述べさせていただきます。
御案内のとおり地方分権にかかる国の動きは、昨年4月に地方分権改革推進委員会を設置し、「地方が主役の国づくり」を地方分権改革推進の基本的な考え方に据え、目指すべき五つの方向性を定めました。即ち、一つ目は「分権型社会への転換」、二つ目に「地方の活力を高め、強い地方を創出」、三つ目に「地方の税財政基盤の確立」、四つ目に「簡素で効率的な筋肉質の行財政システム」、そして五つ目が「自己決定・自己責任・受益と負担の明確化により地方を主役に」であります。
そして、昨年11月には同委員会により「中間的な取りまとめ」が発表され、第一次勧告も5月末に示されたところでございます。国は同委員会の勧告を踏まえ、平成21年度中には、講ずべき必要な法制上又は財政上の措置等を定めた「地方分権改革推進計画」を策定することとしております。いよいよ地方分権改革も第2ステージに入ってきたと強く感じるところでございます。
今申し上げました地方分権改革推進委員会の目指すべき五つの方向性は、時代の要請であると同時に、私が目指すまちづくりである「誰もが住んでよかった、住みたくなる夢のある街福生」の実現に、基本的に合致するものであります。
そして、そのまちづくり実現のためにこれから申し上げます「五つの元気」を、行政運営の柱に据え、市政を着実に進めて参る所存でございます。
行政運営の柱としての五つの元気について
子育てが元気
一つ目が「子育てが元気」であります。
すべての子どもたちが心身ともに健やかに成長し、安心して子育てできる環境が整うことは、少子化が進む現在の社会の中で、保護者のみならず社会全体の願いでもあると私は思っております。出産や育児について、個人の選択を尊重しつつも、安心して子育てができる環境づくりを進めることは、家庭はもとより地域、企業そして行政に課せられた責務であり、市としましてもこれまでその充実を図って参りました。
保育事業の充実については、保育の質の向上を図るとともに、多様化する市民の保育ニーズに応じたサービスの提供を行う必要があり、今後とも各種の保育事業の充実を図って参ります。なお、幼稚園と保育所の一元化の流れがあるところでございます。市内事業者の意向等に注視しながら、認定子ども園の設置等を支援して参ります。
また、児童の健全育成の面では、児童館や学童クラブとともに、ふっさっ子の広場との連携を図りながら、児童の放課後対策の充実を図って参ります。
子育て支援施策につきましては、本年1月からの子ども家庭支援センター先駆型移行に伴い、子どもとその家庭に関する総合相談体制の充実に努めて参りました。今後さらに関係機関と連携・協力を行い、充実に努めて参ります。また中学生までの医療費助成につきましては、今後拡大に向け、取り組んで参ります。
お年寄り・障害者が元気
二つ目が「お年寄り・障害者が元気」であります。
多くの市民の皆様は、住み慣れた地域社会で安心して心豊かに生活を送れることを願っています。平成18年度に実施しました市政世論調査でも、施策の要望として最も高かったのは高齢福祉対策の充実でございました。誰にも訪れる高齢者への道は、避けては通れないものでございます。現に高齢にある方、やがて高齢者になるすべての市民が不安のない老後を送るには、福祉、保健、医療サービスのネットワークづくりを築く必要があると考えております。これは障害のある方も同様と考えます。
それには市民の生活実態やニーズに合わせたサービスの提供に努め、多様な実施主体との協働を深め、新たな福祉活動への取組を行っていくとともに、高齢者や障害のある方が毎日を楽しく、生きがいをもって生活していくために、趣味やレクリェーションを通じての活動や交流、高齢者の知識や経験を生かしたボランティア活動、市民活動団体等への参加など、さまざまなかたちで地域社会とかかわっていく体制の充実を図って参ります。
なお、施設のバリアフリーへの対応といたしましては、JRと連携し、牛浜駅のエレベーター、エスカレーターの早期設置を目指して参ります。
また、現在建替えが進む福生病院でございますが、多くの市民の皆様から医師不足に対する不安の声を承っております。御案内のとおり福生病院は、福生市、羽村市そして瑞穂町の2市1町で独立した地方公共団体として一部事務組合を設置し、運営をしております。したがいまして組合の構成市町との協議が大前提となりますが、福生病院組合の管理者としてのリーダーシップを発揮し、病院長等関係者と十分な協議を行い医師不足の解消等に努めて参ります。
教育が元気
三つ目が「教育が元気」であります。
教育行政につきましては、基本的には教育委員会の所管でございますが、私は、安心して楽しく、のびのびと学び、遊べる環境作りが大切であると考えております。
教育の分野におきましては、国における教育改革という大きな流れの中で、60年ぶりという教育基本法の改正に始まり、その後種々の法整備、制度改正が進められております。そのような中で、福生市教育委員会は、諸課題に対して積極的に取り組んできていると考えております。
例えば、学校教育の分野では、今年度から教育センターを開設し、教職員の研究・研修機能、教育相談機能、そして適応指導機能の三つの機能を併せ持った総合的教育機関としての運営が始まりました。また、小学校から中学校へ進む際に生じるさまざまな学習上、生活上のつまづき、いわゆる中1プロブレムと聞いておりますが、その対応のひとつとして中学1年生の生徒を対象とした宿泊学習教室も実施されております。
社会教育の分野では、放課後対策としてのふっさっ子の広場事業の充実が図られつつあり、今年度は新たに3校で開設が予定されております。かねてから進めてまいりました学社融合施策、つまり地域と学校の協働の芽が出てきたものと考えております。
不登校、学力向上、児童・生徒の健全育成等の諸課題は、一朝一夕に改善が図られるというものではありませんが、教育委員会の積極的な取組を支援し、教育が元気になるよう努めて参る所存でございます。
まちが元気
四つ目が「まちが元気」であります。
まちが元気になるために必要なものは、まず、そこに住む人々が生き生きと元気に暮らす姿だと私は思います。それは安心して暮らせると感じられることだと思います。
このたびミャンマーを襲ったサイクロンによる被害や、中国四川省での大地震で、被災された方々には心からお見舞いを申し上げたいと思いますが、福生市でも当然災害に対する備えが必要でございます。
地震や風水害に強いまちづくりをハード・ソフトの両面で進めることが必要であり、それには建物の耐震化や万が一の災害時に備え、地域で助け合えるコミュニティの強化が必要でございます。
このため、今後とも既存木造住宅の耐震診断や改修についての支援をさらに進めて参ります。また、申し上げるまでもなく、災害時には近隣住民相互の助け合いが重要であり、町会・自治会を中心とした自主防災組織等が大きな役割を担っております。その重要性を踏まえて町会・自治会等への支援のあり方を検討して参ります。
また、先ほど申し上げたミャンマーのサイクロン被害でございますが、近年の地球温暖化現象も発生の要因の一つではないかといわれております。
地球温暖化の原因のほとんどは、CO2(二酸化炭素)による温室効果によるものだと考えられております。地球規模の対策が求められ、各国も取り組み始め、勿論我が国も取り組んでおることは御案内のとおりでございます。
福生市は、いち早くこの対策に取り組み始め、福生市環境基本計画に基づき、市も市民・事業者等とともに「福生スクラム・マイナス50%協議会」を設立し、環境と経済の好循環まちづくりに取り組んできております。
CO2削減に対する基本的な行動指針は、地球規模で考え、地域で行動することであると、常々考えております。したがいまして、この地球規模での環境問題におきましても、地域での取組強化がCO2削減の推進につながると考えております。
そのほか、暮らしに安心感を持っていただくには、火災や犯罪、交通事故に対する防止策の強化が必要でございます。消防署や警察署並びに関係団体等との連携協力により取り組みを進めるとともに、安全安心まちづくり条例の制定の準備も進め、市民が住み続けたいまち、定住化が促進されるまちづくりを目指して参ります。
商業の振興は、まちににぎわいと集いをもたらす重要な役割を持っております。しかしながら、福生市の商業につきましては、先進商業都市の発展や近隣市町への大型店舗の進出などにより、ますます厳しい環境にあることは否めません。
これまで、ハードの面では商業景観の整備と集客力の拡大を図る観点から、主要商店街のカラー舗装による道路整備や市営駐車場の設置等を行い、また、ソフトの面では、経営改善普及事業等を推進するため、商工会への補助を行ってきておりますが、消費者ニーズの多様化もあり、依然厳しい状況でございます。
そのような状況でも、若い経営者の中には元気に、かつ、前向きに取り組んでいる方も多くいらっしゃいます。元気なまちを作るには、まずは、商店街ににぎわいと集いが必要でございます。また、我が市は外国人の割合が高いまちでございます。多様な国の多様な文化を市民レベルで交流していくことは、まちの元気づくりに結びつくものと考えますので、そうした面からも商工会や観光協会とも連携し、商店街ににぎわいと集いをつくり、活性化を図るための研究を進めたいと考えております。
スリムな市役所が元気
五つ目が「スリムな市役所が元気」であります。
福生市は、これまでも着実に行政改革を進めてきております。前市長の御努力によって、効率的、効果的な行財政運営を進め、職員数の改善や給与の改善等を図って参りました。分権型社会における地方自治体には、従来からの課題への取組や改革手法にとどまらず、新たな課題に対応する取組が必要になってきております。
少子高齢化の進展や総人口の減少といった社会構造の変化や、男女共同参画社会の形成による社会環境の変化により、保育や介護といった、今まで私的な領域であったものが新たな公共的サービスへと変化し、また求められるようになってきております。また、この公共の領域の拡大に伴い、公共サービスの提供を市民自らが担うという認識が広がるとともに、市民活動団体、NPO、民間企業など、公共サービスの担い手となれる意欲と能力を備えた多様な主体が現われ、そのような市民等と協働する「新しい公共空間」が生まれてきております。同時に、市職員の意識改革と能力の向上も求められてきております。
福生市は、まちづくりの方向を自己選択、自己決定をし、そして自己責任を負えるという、自立した市民が暮らすまちを目指して参りました。その前提として大事なことは情報の共有であり、活発な議論であり、そして理解の共有であります。
行政とさまざまな能力を持った市民や市民活動団体の方々との協働をさらに進めることは、結果としてお互いが目指すものへの達成につながると信じるものでございます。
そして、市民の機運が高まった時点で、この市民参加型の行政を展開するための基本的な制度規範として自治基本条例等の制定をすべきと考えております。
このようなことから、今後は、行政の事務事業は、行政でなければできない領域に特化し、スリムな市役所を目指して参ります。そして、まだまだ経験不足でございますが、私が民間で培った発想を取り入れまして、既存の事務事業の見直し・点検をさらに行い、行政が直営で行うべきものを精査し、事務事業のアウトソーシングを進めて参ります。市民サービスの低下を招くことなく、こうした取組により、財政上の負担を減らし、市役所に元気を与えたいと考えております。
財政運営について
次に財政運営についてでございます。自立した自治体にとって、財政面での自立は、不可欠であります。今まで申し上げましたさまざまな施策を推進していくためには、その財源の確保が必要であり、そのために、財政の健全化を図っていかなくてはなりません。
事務事業の見直しなどによる経常経費の削減、節減を図ることは、勿論のこととして、使用料や手数料などの自主財源の確保を図っていく必要があります。
歳入の根幹となる市税や国民健康保険税などにつきましては、収納の向上に努めるとともに、併せて権利義務意識や自主納税意識の向上、市民負担の公平性の確保を図っていかなくてはならないと考えております。
また、前市長の財政運営の考え方を継続し、基金の取り崩しや起債の借入れについては、できる限り抑制し、後年度の世代に負担を残さないようにしていかなければならないと考えております。
基地問題について
次に基地問題でございます。横田基地につきましては、福生市にとって大きな存在であるとともに、基地対策は実に重い課題でございますが、基地問題についての考え方やその対策の進め方につきましては、基本的に前市長と変わるものではございません。
基地は動かし難いという見方の中で、基地の存在に起因する諸問題につきましては、基地周辺の住民だけが犠牲になるということではなく、常に都民あるいは国民すべての問題として捉え、その対策について万全を期すよう関係各機関に絶えず要望、要請を行っていかなければならないと考えるものでございます。
とりわけ、市民生活や行財政運営に重大な影響を及ぼすことのないよう、航空機騒音対策や公共施設整備などを図るための防衛補助事業の拡充に努めていくとともに、横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会と連携、協力して国及び米軍に対し、米空母艦載機による離発着訓練の全面中止、航空機の安全運航の推進などについて、引き続き積極的に要請して参りたいと存じます。
また、横田基地の軍民共用化の問題でございます。基本的に日米の国レベルでの問題でございますが、この問題は、福生市単独の問題ではございませんので、情報収集に努めつつ、正式な情報が届いた時点で、速やかに議会へ相談するとともに、市民の意見を聴きながら、また、横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会との協議も行う中で、市としての考えを決めていく必要があると考えております。
結び
さて、当面私が全力で取り組んでいかなければならないことは、福生市第3期総合計画の着実な遂行でございます。
本計画は、「やすらぎ いきいき 輝く街福生」を将来都市像とし、アクティブ、クリエイティブ、チャレンジングを行動指針として構築されましたことは御案内のとおりでございます。この計画期間は、平成22年まででございますが、この総合計画の目標達成に向け、着実に、かつ全力で取り組む所存でございます。
そして、第4期の福生市基本構想の策定でございますが、これは平成22年から平成32年までの10年間にわたる福生市における総合的、かつ計画的な行政の運営を図るため定めるものでございます。
これは、地方自治法の定めにより、市町村に義務付けられたものでございますが、福生市の重要な長期構想として、市民の代表である議会の議決を経て決定するものでございます。その後構想を実現するための基本計画の策定へと進むわけでございますが、いずれも福生市のまちづくりは市民とともに考えるという市民主権の考えに則り進めてまいる所存でございます。その前提として大事なことが、先ほど申し上げましたように情報の共有であり、活発な議論であり、そして理解の共有でありますことから、議員各位並びに市民の皆さんの御理解と御協力をお願い申し上げるものでございます。
以上、縷々(るる)申し上げさせていただきましたが、野澤前市長から受け継いだ襷の重みを十分に自覚し、全力をあげて市政運営に取り組んで参りますので、重ねて議員各位並びに市民の皆様の御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げまして所信とさせていただきます。
御清聴、誠にありがとうございました。
より良いウェブサイトにするためにアンケートを行っています
このページに関するお問い合わせ
企画財政部 企画調整課 企画調整担当
〒197-8501 東京都福生市本町5
電話:042-551-1528